広尾学園中学校高等学校

帰国生には最高の環境と条件
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国際担当 小山 和智

2007年4月、新生「広尾学園」がスタートしました。
「入学満足度 100%」は既に在学している多くの男子からの便りにもあふれています。
ますます目が離せない学校です。

● 広尾学園の土曜特別講座

 「P.L.T.(Personalized Learning Test)プログラム」「定期試験の解答解説集・解説授業」と並んで広尾学園の生徒たちが“幸せ”や“満足”を感じているのは、「土曜特別講座(土曜特講)」でしょう。

 もちろん広尾学園は、日本政府の教育ガイドライン(文部科学省の学習指導要領)に基づいた週5日制の学校ですが、土曜日には希望者を対象に特別授業が開設されているのです。中学・高校とも午前中4限で、各時限(45分)に8〜9種類の講座が並んでいます。

 平日の授業が、基本的に教科書の単元ごとに進められるのに対し、土曜特講はテーマやジャンル、目標を定めて設けられます。例えば、英語なら「不規則動詞の活用」「仮定法の類型」など、関連事項を一括して整理して体得させる講座や、「英語センター(試験対策)」「英検準1級対策」など試験に備えた集中演習の講座もありますし、英語が苦手な生徒のためには「英語基礎」「英語導入」といった基礎力練成の講座もあります。つまり、各講座が明確な目的をもっていて、受講生が期間内(通常4回で1期)にその目的を達成できるよう綿密な計画に基づいて構成されているのです。

 まるで予備校のように実戦的な講座が並び、帰国生にとっては願ってもない“補習”となっています。また、インターナショナル・コースの生徒にとっては、古文や漢文、日本史、日本地理など平日の授業では受けられない科目を学内・学外の“名物教師”に習えるのですから、楽しくて仕方がないようです。

● 今年の学園祭テーマ「No Borders〜地球市民〜」

 「昨年の『けやき祭』は『環境』をテーマに、身近なところから何を感じ、発信できるかを生徒で考えました。今年はそれを発展させ、『地球市民』というテーマのもと、『将来、地球ではどんな問題が起こり得るか』『地球に住む一市民として、将来、自分は社会でどのような活躍・貢献をしているだろうか』『そのために今自分がしなくてはならないことは何か』等を考えました。」これは、今年の「けやき祭」の中学校生徒会長の挨拶です。数ヶ月をかけて学級単位で進めてきたプロジェクト学習の成果の発表の場として「けやき祭」が位置付けられていることが、お分かりいただけるでしょう。

 広尾学園の学園祭では、生徒が屋台や模擬店(焼きそば屋、たこ焼き屋、喫茶店の類)をすることはありません。そうしたコーナーは地元の商店街や業者、あるいはPTA、同窓会、後援会(元PTA会員)の皆さんに任せて、生徒は「日ごろの学習活動の成果を披露する」ことに集中しているわけです。

 国家的あるいは人類全体の課題を身近なものとして引き寄せて考える訓練は、日本の学校では扱い辛いとされていますが、本来、学校教育の大事な柱であるべきです。舞台発表でも、高校演劇部は『命』を好演し、生きていることの大切さを訴えましたし、新体操部やチアリーディング部、ブラスバンド部などのコンセプトも「○○に国境はない!」ことを訴える演技でした。また、野球部員が中心になって作り上げた正面玄関のモニュメントも、空き缶で作った巨大な地球でした。

 こうした全校生徒が一つのテーマを追求する評判は年々高まり、今年の来場者は約6,000名に達しています。

● 帰国生が受けられる入試の種類

 今年は海外入試を行わないのですが、一時帰国して受験できる入学試験は下記の通りになります。適性検査は、学年相当の基礎学力を試すものです。

1) インターナショナル コース入試 
  12月19日(金)および随時
  英語による適性検査(算数/数学・英語)と面接
 注:TOEFL(iBT) 55以上対象。2009年度高校1年は募集しません。

2) 国際生入試 <特進コース>
  12月19日(金)
  小論文(日英どちらも可)、
  日本語での適性検査(算数/数学)と面接
 注:海外生活経験3年以上、英検2級相当以上の英語力が必要。

3) 高校推薦入試
  A推薦(専願) 1月22日(木)
  B推薦(併願) 1月23日(金)
  日本語による適性検査(数学・英語)と面接
注:11月末までに学校見学、日本人学校からの事前相談、推薦状が必要。

4) 一般入試
 [中学]  2月1日(日)・2日(月)・3日(火)・5日(木)
       日本語による2科(国語・算数。1〜3日 午前のみ選択可) または4科(国語・算数・理科・社会)
 [高校]  2月10日(火)・13日(金)・16日(月)
       日本語による国語・数学・英語と面接

英語補習校だより(15)

帰国児童の英語力測定

「海外育ちの子供たちは、どれくらいの英語力で帰国してきますか?」と聞かれることがあります。それぞれの子供の成長過程を無視した乱暴な質問ですが、どういうモノサシで測定したかによっても、いろいろな数値がでてきます。

 まず、日本の実用英語技能検定(STEP)ですが、英語圏の現地校や国際学校から帰国してくる子供のほとんどが、小学5年までに2級を取得しています。一方、英語圏の日本人学校6年生では、2級合格は1割程度に留まっているようです。

 英検2級合格の子供たちにTOEFL(ITP)を受けさせてみますと、大体440〜500点の層(iBT 40〜60相当)となります。しかし、帰国後2年以上を経過した場合には、400点を切る場合もないわけではありません。これが英検 準1級ですと、500〜560点の層(iBT 60〜80相当)となりますが、今年9月初旬の試験で603点(iBT 100相当)を取った6年生もいました。

 では、TOEICではどうかと申しますと、全く相関がありません。本来が英語による大人のコミュニケーション能力を測定するためのものですので、題材もビジネスマンを想定して選ばれているからです。運良く800点以上のスコアが取れた子でも、英語補習校の授業についていけない場合がよくあります。小学生のTOEICスコアは、信用しないほうがよいでしょう。

http://www.toshima.ne.jp/~kyoiku/Eigo-Hoshuko-J.htm

 

 「INFOE」 2008年9・10月号(第22号)掲載


 

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